法人の株式投資の収益に係る税金

前回「個人の上場株式投資の収益に係る税金」で個人に係る税金を計算しましたが、法人での取り扱いはどのようになるのでしょうか。

有価証券は、「売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社関連会社株式、その他有価証券」の4つに分けられます。

まず取得した有価証券がどこに分類されるかを判断し、それぞれに応じた会計処理を行っていくことになります。

有価証券の分類

今回は上場株式についての経理処理を確認したいので、上場株式の有価証券の分類について確認していこうかと思います。

上場株式については上記の分類で「売買目的有価証券」か「その他有価証券」に分類がされます。

売買目的有価証券については、法人税法施行令第百十九条の十二に下記の通り定められています。

法第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる有価証券(第百十九条の二第二項第二号(有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法)に掲げる株式及び出資に該当するものを除く。)とする。

一 内国法人が取得した有価証券(次号から第四号までに掲げる有価証券に該当するものを除く。)のうち、短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的(以下この号及び次号において「短期売買目的」という。)で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的でその取得の取引を行つたもの(以下この号において「専担者売買有価証券」という。)及びその取得の日において短期売買目的で取得したものである旨を財務省令で定めるところにより帳簿書類に記載したもの(専担者売買有価証券を除く。)

二 金銭の信託(法第十二条第一項ただし書(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する信託を除く。)のうち、その契約を締結したことに伴いその信託財産となる金銭を支出した日において、その信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨を財務省令で定めるところにより帳簿書類に記載したもののその信託財産に属する有価証券

三 適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この号において「被合併法人等」という。)から移転を受けた有価証券のうち、その移転の直前に当該被合併法人等において前二号又は次号に掲げる有価証券とされていたもの

四 内国法人が第百十九条第一項第五号、第六号、第八号、第九号又は第十一号(有価証券の取得価額)に規定する合併、分割型分割、株式分配、株式交換又は株式移転(以下この号において「合併等」という。)により交付を受けた当該合併等に係る合併法人若しくは同項第五号に規定する親法人、分割承継法人若しくは同項第六号に規定する親法人、同項第八号に規定する完全子法人、株式交換完全親法人若しくは同項第九号に規定する親法人又は株式移転完全親法人の株式(出資を含む。以下この号において同じ。)で、その交付の基因となつた当該合併等に係る被合併法人、分割法人、現物分配法人、株式交換完全子法人又は株式移転完全子法人の株式が前三号に掲げる有価証券とされていたもの

https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000097#Mp-Pa_2-Ch_1-Se_1-Ss_2_2-Di_1_2-At_119_12

少し読みにくいですが①~④に分かれていて下記の通りかと思います。

①専用のトレーダー+帳簿の記帳、②信託契約+帳簿の記帳、③合併で取得した企業が①、②、④の有価証券を持っている、④合併先の企業が①、②、③の適用を受けていた

まとめ

まとめると、専用のトレーダーがいるか、信託契約があるかしないと売買目的有価証券とはならないようです。一般的にそのようなことはなかなか考えにくいかと思いますので、と考えると上場株式の有価証券はその他有価証券になってくるかと考えられます。

決算時経理処理

決算時の経理処理については法人税法第61条の3に下記の通り定められています。

第六十一条の三 内国法人が事業年度終了の時において有する有価証券については、次の各号に掲げる有価証券の区分に応じ当該各号に定める金額をもつて、その時における評価額とする。

一 売買目的有価証券(短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券として政令で定めるものをいう。以下第三項までにおいて同じ。) 当該売買目的有価証券を時価法(事業年度終了の時において有する有価証券を銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄の同じものについて、その時における価額として政令で定めるところにより計算した金額をもつて当該有価証券のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額(次項において「時価評価金額」という。)

二 売買目的外有価証券(売買目的有価証券以外の有価証券をいう。) 当該売買目的外有価証券を原価法(事業年度終了の時において有する有価証券(以下この号において「期末保有有価証券」という。)について、その時における帳簿価額(償還期限及び償還金額の定めのある有価証券にあつては、政令で定めるところにより当該帳簿価額と当該償還金額との差額のうち当該事業年度に配分すべき金額を加算し、又は減算した金額)をもつて当該期末保有有価証券のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額

https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034#Mp-Pa_2-Ch_1-Se_1-Ss_5-Di_1_2-At_61_3

色々と長いですが、売買目的有価証券は時価法、売買目的外有価証券は原価法になります。

時価法とは時価、上場株式なら決算日のレートで株式を評価し、評価額と簿価との差額を損益に計上します。

原価法は取得価格のままで、決算時に株式の評価は行いません。

売却時経理処理

売却時は売却価格と帳簿価格との差額を有価証券売却損益に持っていくことになります。

借方貸方
現金預金売却金額有価証券帳簿価格
有価証券売却損益貸借差額

配当時経理処理

配当金時は源泉が引かれますので、源泉の金額は法人税等で経理処理を行います。

借方貸方
現金預金入金金額受取配当金配当金額
法人税等源泉所得税

益金不算入制度

益金とは法人税法上の利益のことを指し、会計の利益とは少し違います。

益金不算入ということは、会計上は利益に上がりますが、法人税法上は利益とならないので、会計で計算した数値から、別表で利益から除外することにより、法人税法上は受取配当金を利益とせずに法人税額の計算を行えます。

受取配当については、配当する法人側ですでに法人税が課税されており、受け取った側でさらに法人税を課税すると2重課税になるため、益金不算入の制度があります。益金不算入の割合は下記の通りです。

持ち株比率益金不算入割合
5%以下20%
1/3以下50%
1/3超100%

評価損

一定の場合には、帳簿価格との差額を評価損として計上できます。主な場合は下記の通りです。

  1. 法人の所有する有価証券について次の事実が生じた場合で、その法人がその有価証券の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したとき
    • 取引所売買有価証券、店頭売買有価証券、取扱有価証券およびその他価格公表有価証券等の一定の有価証券(いずれも企業支配株式に該当するものを除きます。)について、その価額が著しく低下したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなったこと。
    • (2) 上記(1)以外の有価証券について、その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したことにより、その価額が帳簿価額を下回ることとなったこと。
    • (3) 上記(2)に準ずる特別の事実
  2. 法人の所有する有価証券について、更生計画認可の決定があったことにより、会社更生法または金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定に従って評価換えをしてその帳簿価額を減額したとき
  3. 有価証券を所有する法人について次の事実が生じた場合で、その法人が売買目的有価証券および償還有価証券以外の一定の有価証券の価額について再生計画認可の決定があった時の価額により行う評定などの評定を行っているとき(確定申告書に評価損明細(別表14(1))の記載があり、かつ、評価損関係書類の添付がある場合に限ります。)
    • (1) 再生計画認可の決定があったこと。
    • (2) 上記(1)に準ずる事実

まとめ

よほど大きな会社でない限りは取得価格のまま、資産上に置いておいて売却した時に一気に損益を計上する形になります。

私の見ている中小企業ではなかなか株式投資を行っている企業はないですが、株式価格は年々インフレとともに上がっていくということを考えると、簿外資産を貯めるという意味での株式投資は全然ありなんじゃないかなと思います。

ただ、最近「青汁王子が株価暴落で20億円損失」というニュースが出ていましたので、ほどほどに行うように注意しましょう。

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