中小企業向け賃上げ促進税制は、中小企業者等又は青色申告書を提出する常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主が、前年度より給与等支給額を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。
概要
令和6年4月1日~令和9年3月31日までに開始する事業年度が対象で、雇用者給与等支給総額が前年度と比較して、1.5%以上増加していることを条件に税額控除が受けられます。
また2.5%以上増加していると税額控除額が増えます。
また上記の1.5%増加しているのと併せて、教育訓練費の金額の増加、くるみん認定やえるぼし認定を受けていると、税額控除率の上乗せがあります。
税額控除率は15%~45%となります。
雇用者給与等支給額の増加
まず第1の条件として雇用者給与等支給額の増加があり、これが1.5%以上増加していないと税額控除額が受けられません。雇用者給与等支給額はどこの金額を表すのでしょうか。
基本的には損益計算書上の給料と同じですが下記の点の注意が必要です。
- 給与等とは、俸給・給料・賃金・歳費及び賞与並びに、これらの性質を有する給与(所得税法第28条第1項に規定する給与等)をいいます。
- 退職金など、給与所得とならないものは原則として該当しません。
- 「雇用安定助成金額」や「役務の提供の対価として支払を受ける金額」がある場合は給与等の金額から除きます。
- 使用人兼務役員を含む役員及び役員の特殊関係者、個人事業主の特殊関係者への給与等の金額は含まれません。
基本的には損益計算遡上の給料、賞与、賃金を合計し、そこから役員の関係者の給料を控除した金額について、当年度と前年度を比較するという形になるかと思います。
上乗せ用件(教育訓練費増加用件)
①教育訓練費の額が前年度と比べて、5%以上増加していること②適用事業年度の教育訓練費の額が適用事業年度の雇用者給与等支給額の0.05%以上であること
の2つを満たすと上記の「雇用者給与等支給額の増加」にプラス10%の税額控除加算があります。
雇用者給与支給額の0.05%の教育訓練費というと、1,000万円の給料を支給すると50万円の教育訓練費ということになります。
教育訓練費の範囲
教育訓練費については下記のようなものが該当してきます。役員や役員の特赦関係者への教育費は対象外となりますので注意が必要です。
- 法人等が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金等、外部施設使用料等)
- 法人等がその国内雇用者に対して、外部から講師又は指導員(以下「外部講師等」)を招聘し、講義・指導等の教育訓練等を自ら行う費用であること
- 外部講師等に対して支払う報酬、料金、謝金その他これらに類する費用であること
- 法人等がその国内雇用者に対して、施設、設備その他資産(以下「施設等」)を賃借又は使用して、教育訓練等を自ら行う費用であること
- 施設・備品・コンテンツ等の賃借又は使用に要する費用であること
- 教育訓練等に関する計画又は内容の作成について、外部の専門知識を有する者に委託する費用であること
- 他の者に委託して当該国内雇用者に対して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費)
- 法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者に委託して教育訓練等を行わせる費用であること
- 教育訓練等のために他の者に対して支払う費用(講師の人件費、施設使用料等の委託費用)であること
- 他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費)
- 法人等がその国内雇用者の職務に必要な技術・知識の習得又は向上のため、他の者が行う教育訓練等に当該国内雇用者を参加させる費用であること
- 他の者が行う教育訓練等に対する対価として当該他の者に支払う授業料、受講料、受験手数料その他の費用であること
対象とならない費用としては下記の者が挙げられています。
- 法人等がその使用人又は役員に支払う教育訓練中の人件費、報奨金等
- 教育訓練等に関連する旅費、交通費、食費、宿泊費、居住費(研修の参加に必要な交通費やホテル代、海外留学時の居住費等)
- 福利厚生目的など教育訓練以外を目的として実施する場合の費用
- 法人等が所有する施設等の使用に要する費用(光熱費、維持管理費等)
- 法人等の施設等の取得等に要する費用(当該施設等の減価償却費も対象となりません。)
- 教材等の購入・製作に要する費用(教材となるソフトウエアやコンテンツの開発費を含みます。)
- 教育訓練の直接費用でない大学等への寄附金、保険料等
上記をまとめると、教育訓練のために、外部の講師へ支払う費用や、研修のために外部に支払う設備使用料などが対象になってくるようです。
上乗せ用件(くるみん認定、えるぼし認定)
適用事業年度中にくるみん認定、くるみんプラス認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を取得すると対象となります。
また、適用事業年度終了の時において、プラチナくるみん認定、プラチナくるみんプラス認定若しくはプラチナえるぼし認定を取得していると対象になります。
初年度はくるみん認定、くるみんプラス認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を取得すると対象となりますが、ずっと適用させたい場合は、プラチナくるみん認定、プラチナくるみんプラス認定若しくはプラチナえるぼし認定が必要になってきます。
まとめ
上記の点は「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」に詳しく載っているのでご確認ください。
控除額はかなり大きいので、なるべく控除ができるようにしていきましょう。

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